株式会社Jiteraが提供する開発AIエージェント「Jitera」は、AIコーディング、AIドキュメンテーション、AI QAの3つの核となる機能を備え、システム開発の効率化と品質向上を実現します。金融・製造業界など高セキュリティ要件が求められる環境でも利用可能な設計で、新たにEclipse IDE版の提供も開始。エンタープライズ企業のDX推進と開発効率化を強力に支援するAIエージェントの機能と活用法を解説します。
日本発、エンタープライズ環境に対応した開発AIエージェント
ソフトウェア開発の現場では、コーディングからテスト、ドキュメント作成まで、多くの工数を要する作業が山積しています。特に人材リソースが限られた企業では、これらの作業を効率化することが喫緊の課題となっています。
株式会社Jitera(本社:東京都港区、代表取締役:柳澤直)が開発した「Jitera」は、このような課題に応える日本発の開発AIエージェントです。「ソフトウェア開発の次の時代を創る」というミッションのもと、開発プロセスを自動化し、エンジニアの生産性を大幅に向上させることを目指しています。
特筆すべきは、金融・製造業界などセキュリティ要件が厳しいエンタープライズ環境でも利用できるよう設計されている点です。2025年3月7日には、広く普及しているEclipse IDEに対応した版の提供も開始され、より多くの企業での導入が期待されています。
URL:https://jitera.com/ja?nextInternalLocale=en
Jiteraの3つの核となるAI機能
Jiteraは主に以下の3つの核となる機能を提供しています:
1. AIコーディング - コーディングを自動化する
AIエージェントに指示を伝えるだけで、自動的にコーディングを生成する機能です。人間のコーディングを支援するだけでなく、AIがコーディングをリードし、人間はAIの作業結果をマネジメントする新しい開発スタイルを実現します。
具体的には、AIエージェントはドキュメント、タスク管理ツール、Figmaのデザインなど、既存のコンテキストを理解した上でコーディングを行い、より適切なアウトプットを生成します。
2. AIドキュメンテーション - ソースコードから設計ドキュメントを生成
レガシープロジェクトからのシステム移行時などに特に威力を発揮する機能です。AIがソースコードを解析し、指定したフォーマットで設計ドキュメントを自動生成します。
クラス図やER図などの図式化された文書も作成可能で、ドキュメントは常に最新のコードに基づいて更新されます。AIエージェントとの対話を通じて、設計ドキュメントの内容を調整することもできるため、ドキュメント作成の工数を大幅に削減できます。
3. AI QA - テストの工数を削減する
AIがテストケースを設計し、エンドツーエンド(E2E)テストを実装・実行する機能です。ソースコードや設計ドキュメントからAIがテストのテストケースをプログラムし自動で生成します。
Jiteraはテストを実行し、ログを記録することも可能です。AIは複雑な状況も認識できるため、テストケース作成の工数削減だけでなく、テストケース実行のリードタイムも短縮できます。これにより、QA工程の効率化と品質向上を同時に実現します。
エンタープライズ環境でのセキュリティと柔軟性
Jiteraの大きな特徴は、エンタープライズレベルのセキュリティ要件に対応している点です。「閉じたネットワークでAIを使う、セルフホスト機能」として以下の特徴を備えています:
- 監査ログ、SSO(シングルサインオン)、権限管理: エンタープライズレベルのセキュリティ要件に必要な機能を完備
- セルフホスト(オンプレミス): 顧客のクラウド環境やオンプレミス環境でJiteraのサービスを稼働可能
- オープンソースLLM対応: 様々な言語モデルと連携可能
- インターネット接続が制限された環境でも利用可能: 高セキュリティを保ちながら生産性向上を実現
特に金融業界や製造業界など、厳格なセキュリティポリシーが求められる業種でも安心して導入できる設計になっています。
料金プランと導入オプション
Jiteraには主に以下の料金プランがあります:
- スタンダードプラン(ユーザー数30名未満)
- 開発AIエージェント
- リバースエンジニアリング
- AI QAテスト
- 監査ログ
- 二段階認証
- SSO認証、IPアドレス制御
- カスタマーサクセス(CS)のサポート
- エンタープライズプラン(ユーザー数30名以上)
- スタンダードプランの全機能
- テクニカルアカウントマネージャー(TAM)のサポート
- セルフホスト(オンプレミス)
- オンサイト対応
加えて、自社に開発リソースがない企業向けの「開発支援プラン」も用意されています。このプランでは、Jiteraのプロフェッショナルがプロジェクトマネージャー、ソフトウェアエンジニア、QAテスター、デザイナーなどの人材を提供し、顧客の開発プロジェクトを包括的に支援します。
導入事例と効果
Jiteraの導入により、以下のような効果が報告されています:
- 日建リース工業株式会社
- これまでのノウハウを活かしたシステムの開発
- 業務を効率化させ、受注率と社内のエンゲージメントも向上
- カルビー株式会社
- 新規事業のDXで作業効率が3倍に
- 同じ目線で要件定義が一番のポイント
- 東急リゾーツ&ステイ株式会社
- 予約システム再構築とアプリ開発で業務改善
- 「また訪れたいという想いを積み重ねる」環境実現
これらの事例から、Jiteraは単なる開発効率化ツールにとどまらず、ビジネス課題解決やDX推進のパートナーとしての役割も果たしていることがわかります。
今後の展望と技術動向
Jiteraは従来Web・Visual Studio Code・JetBrains IDEでの利用に対応していましたが、新たにEclipse IDEにも対応範囲を広げました。これにより、特に金融・製造業・官公庁など、セキュリティ要件が厳しい業界での導入障壁が下がることが期待されます。
AIが開発プロセスをリードし、人間がAIをマネジメントするという新しい開発スタイルは、今後のソフトウェア開発の主流になっていく可能性があります。特に人材不足が深刻化する日本のIT業界において、Jiteraのようなツールの重要性はさらに高まっていくでしょう。
また、オープンソースLLMへの対応や、オンプレミス環境での稼働など、企業のIT環境やセキュリティポリシーに柔軟に対応できる点も、今後の普及に大きく貢献すると考えられます。