GitLab 17.9が公開、セルフホスト型のLLMを活用できるGitLab Duoの一般提供が開始

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GitLab 17.9が公開、セルフホスト型のLLMを活用できるGitLab Duoの一般提供が開始

自社インフラでLLMを活用できるGitLab Duoが一般利用可能に

GitLabは最新バージョンとなるGitLab 17.9をリリースし、その中で大きな注目を集めているのが、生成AIの大規模言語モデル(LLM)を閉じた環境でデプロイできる「GitLab Duo」の一般提供開始です。この機能により、GitLab UltimateとDuo Enterpriseライセンスを持つセルフホスト型GitLabユーザーは、自社のインフラストラクチャ上にLLMをホストし、GitLab Duoのコード提案やチャット機能のソースとして活用できるようになりました。

現在、GitLab Duoのセルフホストモデルでは、以下のAIモデルをサポートしています:

  • Mistralモデル(vLLMまたはAWS Bedrock上でのオープンソース型モデル)
  • AWS BedrockのClaude 3.5 Sonnet
  • Azure OpenAIのOpenAIモデル

この機能により、外部サービスに依存することなく、生成AIの能力を最大限に活用しながらデータ主権とプライバシーを確保できるようになります。特に機密性の高いコードを扱う企業にとって、セキュリティを維持しながらAIの恩恵を受けられる重要な進展といえるでしょう。

開発者体験を向上させる多数の新機能

GitLab 17.9では、開発者の生産性向上に直結する多くの機能が追加されました。その一部を紹介します:

複数のGitLab Pagesサイトを並列デプロイ可能に

PremiumおよびUltimateユーザー向けに、複数バージョンのGitLab Pagesサイトを同時に作成できる並列デプロイ機能が導入されました。各デプロイには一意のURLが割り当てられ、デザイン変更のプレビューや開発中のサイト確認などに役立ちます。デフォルトでは並列デプロイは24時間後に自動的に失効しますが、有効期間のカスタマイズも可能です。

VS CodeやJetBrains IDEでGitLab Duo Chatにプロジェクトファイルを追加可能に

VS CodeやJetBrains IDEでのGitLab Duo Chat使用時に、プロジェクトファイルを直接追加できるようになりました。これにより、Duo Chatは特定のコードベースをより深く理解し、コンテキストに沿った正確な回答を提供できるようになります。コードの説明やデバッグ支援において、より適切なサポートが期待できます。

Sysboxを用いたワークスペースコンテナのサポート

GitLabワークスペースにおいて、Sysboxを使用して設定されたKubernetesクラスター上で実行している場合、追加設定なしでコンテナのビルドと実行が可能になりました。これにより、開発環境でコンテナのビルドと実行を直接行えるようになり、完全なコンテナワークフローを維持できます。

カスタムdevfileなしでワークスペースが作成可能に

これまでワークスペースを設定する際には、devfile.yaml設定ファイルの作成が必要でしたが、本リリースからは一般的な開発ツールを含むデフォルトファイルが提供されるようになりました。これにより、設定の手間なく素早くワークスペースを作成し、開発に集中できるようになります。

セキュリティと管理機能の強化

GitLab 17.9では、セキュリティや管理に関する機能も大幅に強化されています:

CI/CDパイプラインの自動クリーンアップ

古くなったCI/CDパイプラインを自動的に削除するプロジェクト設定が導入されました。指定した保持期間よりも古いパイプラインと関連するアーティファクトは自動的に削除されるため、ディスク使用量の抑制と全体的なパフォーマンスの向上につながります。

脆弱性リスクの優先順位付けに役立つデータ

Ultimateユーザー向けに、以下の脆弱性リスクデータのサポートが追加されました:

  • 悪用予測スコアリングシステム(EPSS)
  • 悪用されている既知の脆弱性(KEV)
  • 共通脆弱性識別子(CVE)

これらのデータを使用して、依存関係やコンテナイメージにおける脆弱性のリスクを効率的に優先順位付けできるようになります。

UIからDASTスキャンの詳細設定が可能に

これまではUIからのDASTスキャン設定オプションが限られていましたが、本リリースでは以下を含む詳細な設定がUIから直接可能になりました:

  • カスタムヘッダーやクッキーを含む完全な認証設定
  • クロール設定の詳細な調整
  • スキャンのタイムアウトと再試行設定
  • スキャナーの動作カスタマイズ
  • 特定の脆弱性タイプを対象としたスキャンモード

今後の展開

GitLabは継続的に機能を強化し、開発者エクスペリエンスの向上に取り組んでいます。

本リリースには110件以上の改善が含まれており、ここで紹介したのはその一部に過ぎません。詳細については公式ドキュメントを参照いただくことをお勧めします。セルフホストLLMの活用からワークスペース機能の強化、セキュリティツールの拡充まで、GitLab 17.9は開発プロセス全体を強化する重要なアップデートとなっています。

出典