本記事では、株式会社Algomaticが開発・提供する採用特化AIエージェント「リクルタAIシリーズ」を紹介します。「書類選考」と「スカウト業務」に特化した2つのAIエージェントが、採用担当者の業務負荷を軽減しながら高精度な人材マッチングを実現。カスタマイズ可能なAIが企業の採用方針に沿った候補者選定からパーソナライズされたスカウト文面作成まで自動化。DMM.comでは導入からわずか2ヶ月で2名の内定獲得、シンプレクスでは他社RPOサービス比約10倍のスカウト返信率を達成するなど、採用現場に革新をもたらしています。
はじめに:深刻化する採用課題とAIによる解決の可能性
少子高齢化による労働人口の減少や人材の流動性の高まりを背景に、企業の採用活動における人材獲得競争は一層激化しています。中途採用において必要な人数を確保できなかった企業が約6割に上るなど、採用難と人手不足は多くの企業にとって深刻な経営課題となっています。
さらに、企業が求めるスキルセットの多様化や即戦力人材への需要の高まりにより、採用プロセスは複雑化し、人事・採用担当者の業務負荷は増加の一途をたどっています。実際、人事部門内で最も多忙とされる業務として、約8割が「人材採用」を挙げているというデータもあります。
このような状況のなか、Algomaticは、採用業務に特化したAIエージェント「リクルタAI」シリーズを開発。「待ってるだけで欲しい人材に出会える」という画期的なコンセプトで、採用業務の効率化と高精度な人材マッチングを両立させるソリューションを提供しています。
本記事では、「リクルタAI」シリーズの機能や特長、そして実際の導入事例について詳しく解説します。
リクルタAIシリーズとは?—採用特化AIエージェントの全貌
「リクルタAI」シリーズは、採用業務に特化したAIエージェントです。2024年11月に第1弾として書類選考サポートサービス「リクルタAI 書類選考」(旧:リクルタ レジュメマッチAI)を、2025年1月には第2弾としてスカウト業務特化サービス「リクルタAI ダイレクト採用」をリリースし、採用業務のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。
同社の掲げる「採用3.0(=ネオ人事部)」という人事組織モデルのコンセプトは、採用担当者とAIエージェントが協働することで、より高度な採用活動を実現するというビジョンに基づいています。AIが労働負荷の高い業務を担当し、人間は「一人ひとりの候補者とより向き合うための伴走活動」に注力するという役割分担によって、業務効率と採用の質の両方を高めることを目指しています。

リクルタAIの主要サービス—書類選考とダイレクト採用
1. リクルタAI 書類選考(第1弾)
「リクルタAI 書類選考」は、人間による書類選考の前に、各社専属のAIエージェントが求人内容と求職者の「マッチ度評価」を行うサービスです。
大企業の採用現場では、毎日何百通もの履歴書や職務経歴書をチェックする必要があり、この膨大な業務量が人事担当者の大きな負担となっています。「リクルタAI 書類選考」は、約6万人以上のキャリアデータを匿名化して分析し、企業ごとのニーズに応じたAIモデルを構築。これにより、より高精度な候補者のスキルや経験の適合度スコアリングを実現しています。
主な特長としては、AIによるスピーディな書類選考と適切なフィードバックの提供による選考期間の短縮、性別や顔写真などのアンコンシャスバイアスに該当しやすい項目を排除した公平な評価、そしてSlackなどのチャットツール経由でAIエージェントと連携できる利便性が挙げられます。

2. リクルタAI ダイレクト採用(第2弾)
「リクルタAI ダイレクト採用」は、スカウト業務に特化したAIエージェントとして2025年1月に提供が開始されました。採用担当者と協働するAIエージェントが、人材要件とマッチ度の高い候補者をリストアップし、転職意欲が上昇したタイミングでキャリア志向に寄り添ったスカウトを送信することで、タイムリーな採用を実現します。
スカウト業務を行う企業の約6割が「採用候補となる転職希望者を探すのに時間がかかる」、約3割が「スカウト文面を作成するのに時間がかかる」と回答しているように、スカウト業務の負担は非常に大きいものです。「リクルタAI ダイレクト採用」はこの課題を解決し、採用企業は「カレンダー上で空きスケジュールを確保して待っているだけ」で、求める候補者との面談希望を獲得できるようになります。
GPT・Claude・Geminiといった複数のLLM(大規模言語モデル)を独自に組み上げて開発されたこのAIエージェントは、企業の採用方針に沿ってカスタマイズされ、採用候補者のプロフィールや転職軸などの情報をもとに、パーソナライズされたスカウト文面を自動生成します。例えば、ワークライフバランスを重視する候補者にはフルリモート環境を、昇給を重視する候補者には待遇面を強調するなど、一人ひとりの志向に合わせた訴求を行います。

リクルタAIの導入事例—大手企業での成功ケース
リクルタAIシリーズは、すでに複数の大手企業で導入され、顕著な成果を上げています。
合同会社DMM.com:では、「リクルタAI」の導入からわずか2ヶ月という短期間で、EV事業部において2名の内定承諾を獲得することに成功しています。同社人事部の内山一彦氏は、「目線合わせを兼ねたターゲッティングのすり合わせをカスタマーサクセス担当の方と丁寧に行うことで、AIスクリーニングの高い精度が担保された」と評価。また、「フルカスタマイズの文章で送信できているので、スカウト工数の削減と手離れを実現することができています」とコメントしています。
シンプレクス・ホールディングス株式会社 :「リクルタAI」導入後1ヵ月強で、以前利用していた他RPOサービスと比較して約10倍のスカウト返信率を達成。同社ヒューマン・リソーシーズディビジョンの山本佳史氏は「狙った母集団を効率的に形成することができており、非常に前向きな手応えを得ることができています」と述べています。また、プロンプト設定の過程で「言語化できているようでできていなかった曖昧な要件を抽出し具体化することができた」という副次的な効果も得られたとのことです。
カバー株式会社 :VTuber事務所「ホロライブプロダクション」で知られるカバー株式会社でも、「リクルタAI」の導入により、従来の採用担当者の品質をキープしたまま、面談数や応募数の増加に成功。同社採用チームマネージャーの坂本香菜子氏は「AIエージェントを用いたスカウトでは最初の要件定義やその後のチューニングが重要になりますが、カスタマーサクセス担当の方が迅速かつ丁寧にご対応くださり、安心してサービスを活用することができています」とコメントしています。
人事組織モデルの変化—「採用3.0」という新たな概念
Algomatic Worksが提唱する人事組織モデルの変革の考え方は、採用活動の歴史的な発展を3つのフェーズに分けて考える点で興味深いものです。
採用1.0:インターネットの普及以前は、求人誌・新聞広告・大学連携など特定チャネルに依存した採用活動が中心でした。採用担当者は特定チャネルに特化した業務を担当していました。
採用2.0:インターネットの浸透や人材紹介業の解禁をきっかけに、採用手法が複雑化・高度化。採用担当者は、多岐にわたるWeb広告媒体やスカウト媒体の運用、エージェントとの連携、採用管理システムの管理など幅広い業務を担当するようになりました。
採用3.0:生成AIのビジネス活用が始まり、採用担当者とAIが分業し協働する"ネオ人事部"へと進化。労働負荷の高い業務はAIエージェントが行い、採用担当者は「一人ひとりの候補者とより向き合うための伴走活動」に注力することで、より高次元での採用マッチングが可能になります。
この「採用3.0」のビジョンは、単なる業務の自動化ではなく、人間とAIが得意分野を活かして協働するという新しい働き方を示唆しています。AIが定型的・大量的な業務を担当することで、人間はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになるという考え方です。

まとめ:AIエージェントが変える採用の未来
「リクルタAI」シリーズに代表される採用特化AIエージェントの登場は、採用活動のあり方を根本から変える可能性を秘めています。特に人材不足と採用担当者の業務負荷増大という二重の課題を抱える現在の状況において、AIを活用した効率化と高精度化は、多くの企業にとって有効な解決策となるでしょう。
Algomatic Worksでは2025年半ば頃までをめどに、求人票作成・日程調整・面接などの各種採用課題にフォーカスした機能を、採用特化AIエージェント「リクルタAI」シリーズとして連続リリースする予定です。これにより、採用活動の全プロセスをカバーする包括的なAIサポートが実現し、企業の人事・採用担当者の負担軽減と採用成功率の向上が期待されます。
「待ってるだけで欲しい人材に出会える」というキャッチコピーが示すように、「リクルタAI」は採用業務の常識を覆す革新的なサービスです。人材獲得競争が激化する現代において、AIエージェントと人間が協働する「ネオ人事部」モデルは、今後の採用活動における新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。