ヘルスケアDXをグローバル展開するOmiGroupの日本法人Omi Japanが、医療分野に特化したAIエージェントを開発し、2025年内の医療機関導入を目指しています。このAIエージェントは、EMR(電子カルテ)と自動連携し、予約・問診業務の自動化による運営効率化と患者の診療体験向上を実現します。13年間の医療システム開発実績を持つ同社の知見を活かした取り組みに注目が集まります。
医療DXに革新をもたらす、Omi Japanの医療特化型AIエージェント
ヘルスケアDXをグローバル展開するOmiGroup(グループ代表チャン・クォック・ズン)の日本法人Omi Japan株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 ダン・ミ・ハイン)は、医療分野に特化したAIエージェントを開発したことを発表しました。同社は2025年中に医療機関への導入を目指し、受付や看護業務の自動化による運営効率最適化と患者の診療体験向上の実現を進めています。
※AIエージェントとは
AIエージェントとは、人間が設定した目標に対して、自らデータを収集・分析し、最適な行動を自律的に選択・実行する高度なプログラムです。従来のAIが情報提供にとどまっていたのに対し、AIエージェントは複数の技術を組み合わせ、環境やフィードバックに応じて複雑なタスクも実行可能な点が特徴です。
医療分野に特化した独自のAIトレーニングデータを活用
13年にわたり日本のヘルスケアシステム開発に特化してきたOmi Japanでは、進化を続けるAI技術の研究を継続的に実施してきました。今回、同社が有する医療分野に特化したAIトレーニングデータの活用により、いち早く医療AIエージェントの開発に着手することが可能となりました。
現在のフェーズでは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、EMR(電子カルテ)と自動連携して診察予約プロセスを最適化するAIエージェントを開発しています。このエージェントは患者との対話を通じて情報を収集・分析し、最適な診察スケジュールを提案。取得した情報はEMRへ自動登録される仕組みです。
病院でのAIエージェント活用シーン
1. 予約・問診業務の自動化
従来の問診票の入力や予約システムの代わりに、AIエージェントが患者の状態や症状を文脈に沿ってヒアリングします(音声またはテキストによる対話)。
2. 診療への活用、EMRへの登録
収集された情報はEMRに記録され、診療を担当する医師に共有されます。従来の問診票記入では症状の詳細を把握することが困難でしたが、AIエージェントにより詳細なヒアリングが可能となり、医師が再度問診する手間の省略が期待されます。
3. 患者:医療アクセスの向上
予約・問診・さらに医師など担当者との情報共有がスムーズに完結することで、待ち時間や診療時間の効率化が図れます。オンライン完結により医療アクセスが向上し、適切な診療案内を受けることができます。
バーチャルアシスタントシステムの開発へ、予防医療にも展開
Omi Japanでは今後、診察前の事前問診、診察中の会話記録・標準化、診察後のフォローアップまで対応するバーチャルアシスタントシステムの開発に着手する計画です。医療現場の業務効率と治療効果の向上に貢献するAIエージェントの開発を目指し、さらには予防医療への展開も視野に入れています。
開発背景:「意思決定支援AI」から「意思決定代替AI」へ
OmiGroupのグループ代表であるチャン・クォック・ズン氏は、AIエージェント開発の背景について次のように述べています。
「従来のAIは『人間の意思決定を支援する』ものでしたが、AIエージェントは『人間の意思決定を代替する』領域に入ろうとしています。3月に開催されたHIMSS25(世界最大規模のヘルステック・カンファレンス)に参加し最も衝撃を受けたのは、『テクノロジーの進化速度』と『医療現場の導入速度』の間に巨大なギャップが生まれ始めていることです。多くの病院や医療機関では、まだ生成AIの導入すら完了していない現状があります。一方で、AIテクノロジーはすでに自律的に行動を起こす次世代AI(AIエージェント)へと移行し始めています。」
さらに「今、医療リーダーにはAI導入をどう進めるか・生成AIだけでなく、AIエージェントへの道をどう描くかが問われています。『人間主導』から『AI主導』への移行に、医療分野が遅れをとらないための助力となることが、長きにわたり医療分野に特化してきたOmiグループの使命であると感じています」と展望を語っています。
韓国でAIエージェントセミナーを開催
3月20日には、グループ会社であるOmi Korea主催のもと、韓国・ソウルにて「価値に基づく医療(Value-based health care (VBHC)におけるAIエージェントの役割」をテーマとしたセミナーが開催されました。
このセミナーでは、価値に基づく医療の概要や導入による利点に加え、AIエージェントの具体的な役割や活用事例、最新技術の導入事例が紹介されました。また、Omi Japanが開発した医療特化型AIエージェントのデモンストレーションも実施され、実際の活用イメージが参加者に共有されました。

Omi Japanについて
Omi Japan株式会社は日本向けの医療・ヘルスケアシステム開発に特化したオフショア企業です。13年以上の豊富な経験を有し、これまでに350以上のシステムを開発、病院・薬局など累計1万以上の医療機関に導入実績を有しています。開発実績は医療機関の内部で使用するシステム・患者向けシステムのほか、臨床試験・検査、福祉分野にまで多岐に渡ります。

まとめ
Omi Japanが開発する医療特化型AIエージェントは、医療現場の業務効率化と患者体験の向上を同時に実現する可能性を秘めています。13年間の医療システム開発で蓄積された知見と、医療分野特化のAIトレーニングデータを活用することで、2025年内の実用化を目指しています。
「意思決定支援」から「意思決定代替」へとAI技術が進化する中、医療分野でのAIエージェント導入は大きな転換点となるでしょう。Omi Japanの取り組みは、医療DXの次なるステージを見据えた先進的な取り組みとして注目に値します。
今後の展開として、4月9日から開催される「ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2025」にOmi Japanが出展予定で、分散型臨床試験DXソリューション開発や生成AIの応用についての説明も行われるとのことです。医療・ヘルスケア分野でのAI活用に興味のある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
- 【出展情報】
- ・ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2025(第6回)
- ・https://www.pharmait-expo.com/
- ・日時:2025年 4月9日(水)〜11日(金)10:00-17:00
- ・場所:東京ビッグサイト 東4ホール
- ・Omi Japanブース:4C-30