株式会社EggAIが八生建設と共同で、建設業界の顧客対応・提案プロセスを効率化するAIエージェントシステムの開発を開始。顧客要望を自然言語で受け付け、過去の施工データに基づいた見積もりや施工イメージを自動生成する機能を実装。人手不足や属人化した業務の効率化を図りながら、顧客満足度向上も目指す革新的な取り組み。現在は試験導入段階で、今後さらなる機能拡充が予定されています。
建設業界の課題を生成AIで解決—顧客対応から提案までを自動化
建設業界は今、深刻な人手不足と属人化した業務プロセスという二重の課題に直面しています。顧客の要望を聞き取り、それを具体的な提案に落とし込む初期対応は、多大な時間と経験を要する業務。この課題に対し、AIのチカラで新たな風を吹き込む取り組みが始まりました。
株式会社EggAI(本社:東京都文京区、代表:中島柚斗氏)は、八生建設株式会社と共同で、建設業界における顧客対応および提案業務のデジタル変革(DX)を支援するAIエージェントシステムの開発をスタートしたと発表しました。
このシステムは、単なる自動化ツールではありません。お客様からの建設に関する要望を自然言語で受け付け、過去の施工データや実績に基づいた複数の見積もり案や施工イメージを自動生成・提案することができます。これにより、初期ヒアリングから提案までのリードタイムを大幅に短縮しつつ、顧客満足度向上を両立させるという野心的な目標に挑戦しています。

画像生成AIが変える建設提案の未来
本システムの特筆すべき機能の一つが、AIによる「提案イメージ」の自動生成です。過去の施工実績をもとに、顧客の要望に合わせた施工後のイメージ画像をAIが生成。これにより、営業担当者は顧客との打ち合わせの場で、リアルな完成予想図を即座に提示できるようになります。
プ実際の施工事例とAIが生成した画像の比較が示されており、その精度の高さに驚かされます。オフィスビルのような大型施設から、内装のキッズスペース、廊下空間に至るまで、様々なタイプの建築物にも対応している点が印象的です。
この機能により、従来であれば数日から数週間かかっていた施工イメージの作成が大幅に効率化され、顧客との合意形成の迅速化につながることが期待されます。

システム導入のBefore/After—AIが変える業務プロセス
具体的に、このシステムがどのように業務を変革するのか。
導入前は、顧客の要望をヒアリングする担当者、見積りを作成する担当者、施工イメージを準備する担当者がそれぞれ独立して作業を行い、情報の連携や整合性の確保に時間がかかっていました。
一方、システム導入後は、AIが顧客の要望を受け付け、データベースから関連情報を抽出。見積り、施工イメージ、さらには関連情報まで自動的に取得・生成することで、担当者の負担を大幅に軽減します。担当者はAIが生成した提案をベースに、専門知識を活かした付加価値の高い提案に注力できるようになります。
将来的には、建設予定地周辺の地理情報、法規制、人口動態などの関連情報の自動リサーチ機能や、それに基づいた事業計画案の自動作成機能も開発予定とのこと。これにより、営業から企画、見積もり、提案に至るまでの一連の業務プロセスの高度な自動化と省力化が進むでしょう。
現場での試験導入と今後の展望
現在、このシステムは八生建設株式会社において営業担当者向けに試験導入がスタートしています。ラボ環境ではなく実際の現場でのフィードバックを得ながら改善を重ねるアプローチは、システムの実用性を高める上で重要です。
このようなAIシステムの実用化は、建設業界のみならず、日本の基幹産業全体の生産性向上とイノベーション創出に貢献する可能性を秘めています。特に、少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、業務の効率化と高度化を同時に実現するソリューションへの期待は高まるばかりです。
EggAIは東京大学での研究開発をベースにしたAIソリューションを提供するスタートアップ企業です。2023年11月に設立されたばかりの若い企業ですが、このような実用的なAIシステムの開発に取り組む姿勢には、業界の未来を変える可能性を感じさせます。
まとめ
株式会社EggAIと八生建設の共同開発による建設業界向けAIエージェントシステムは、顧客対応から提案業務までを効率化・高度化する画期的なソリューションです。自然言語での要望受付から、AIによる見積もりや施工イメージの自動生成まで、一連の業務プロセスをデジタル変革することで、労働力不足や業務効率化という業界課題の解決に挑戦しています。
特に、過去の施工実績をベースにした施工イメージの生成機能は、顧客との合意形成を迅速化する強力なツールとなりそうです。現在は八生建設での試験導入段階ですが、今後は地理情報や法規制、人口動態などの関連情報の自動リサーチ機能なども追加され、さらなる業務効率化が期待されます。
建設業をはじめとする日本の基幹産業におけるAI活用の好例として、今後の展開に注目したいプロジェクトです。
サービス詳細:https://eggai.co.jp