セイノー情報サービスが物流業界で初となるAIエージェント「ロジスティクス・エージェント」の開発を開始。このAIは物流現場の状況を分析・判断し、最適なアクションを提案、一部処理を自動実行する機能を持つ。深刻化する人手不足問題に対応し、国内物流コスト約50兆円の効率化を目指す革新的なソリューション。2025年に実用レベル2~3の達成、2030年までに汎用化・民主化を視野に入れています。
物流業界に革新をもたらすAIエージェントの誕生
物流現場の人手不足が深刻化する中、テクノロジーによる解決策が待ち望まれていました。2025年3月27日、株式会社セイノー情報サービス(代表取締役社長:松本充博)は、物流業界では初となる物流版AIエージェント「ロジスティクス・エージェント」の開発を表明しました。
このAIエージェントは、人に代わって物流現場の状況を分析・判断し、未来を予測。問題解決のための改善アクションを提案するだけでなく、必要な処理を自動実行する機能も備えています。この革新的なサービスは、加速する物流業界の人手不足に対する有効な打開策となる可能性を秘めています。
AIエージェントが物流をどう変えるのか
ロジスティクス・エージェントの大きな特徴は、単なる分析ツールではなく、物流の専門知識を持ったAIが状況判断から実行までを一貫してサポートする点です。セイノー情報サービスは、西濃運輸グループおよび一般企業向けに提供してきた物流ITソリューションで培った技術・方法論に加え、長年蓄積した体系的な物流ナレッジやアプリケーションデータを最大限活用して開発を進めています。
発表会では、同社の松本充博社長がロジスティクス・エージェント開発の背景やコンセプト、想定されるユースケースとその効果について解説。デモンストレーションや動画を通じて、ロジスティクスおよびサプライチェーンにおける活用イメージが示されました。

段階的に進化するAIエージェント
同社では、ロジスティクス・エージェントの達成段階をレベル0から6に定義づけています。2025年にはレベル2~3(問題を検知し取るべき行動を示唆、人の承認をもってAIが自動実行する)へ進行する計画で、さらに2030年をめどにレベル6となる「汎用化・民主化」を視野に入れています。
このような段階的アプローチにより、現場への導入障壁を下げながら、徐々に高度な自律性を獲得していく戦略が見て取れます。
業界有識者が語る物流の未来
発表会の第二部では、Gen-AX株式会社(ソフトバンク100%出資)の鈴木祥太氏と株式会社ローランド・ベルガーの小野塚征志氏をゲストに迎え、「ロジスティクス・エージェントで物流はどう変わるのか?」というテーマでパネルディスカッションが行われました。
議論では、日本の製造・物流現場は高いスキルを有するがゆえに、AIやロボットを活用した自動化が進まない傾向があることが指摘されました。しかし、人手不足は待ったなしの状態であり、経営者によるトップダウンの意思決定と「まずは使ってみる」「試してみる」という、失敗を恐れない挑戦する姿勢の重要性が強調されました。

社会課題解決と経済効果
このロジスティクス・エージェントは、人手不足をはじめとする物流の諸問題を解決し、物流管理・物流現場を高度化する革新的なソリューションとして期待されています。同社は、国内マクロ物流コスト(約50兆円)における管理系コスト(約1.4兆円)を大幅に削減するとともに、50兆円全体の効率化を目指しています。
これにより社会課題を解決し、持続可能な物流の実現に貢献するというビジョンを掲げています。物流業界の未来を左右する可能性を秘めたこの技術開発に、多くの関係者が注目しています。
まとめ
セイノー情報サービスが開発を始めた物流版AIエージェント「ロジスティクス・エージェント」は、物流現場の状況分析から判断、そして実行までをサポートする画期的なソリューションです。同社の長年蓄積した物流ノウハウとITソリューションの技術を融合させることで、深刻化する人手不足問題に対応し、物流業界の効率化を目指しています。
2025年のレベル2~3の実用化、2030年にはレベル6の汎用化・民主化を目指す段階的な開発計画は、現場への導入を考慮した現実的なアプローチと言えるでしょう。今後の物流業界に期待が高まります。
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