株式会社UPBONDが、ユーザーの過去の行動データを活用してパーソナライズされたレコメンドを提供するAIエージェント「Login3.0 with AI Agent」をリリース。従来のAIエージェントとは異なり、ユーザーのライフログ(行動履歴・興味関心データ)を蓄積・活用することで、毎回の説明が不要な直感的な対話とシームレスな顧客体験を実現します。個人主権型IDを基盤として、SNSやチャットボット経由でのコミュニケーションにおいて、企業をまたいだ一貫した対応が可能に。
AIエージェントの新時代:ユーザーの「過去」を理解する
「近くのおすすめの日本食レストランを教えて」
こんな質問をAIエージェントにしたとき、あなたは毎回同じ質問をされ、何度も同じ情報を入力した経験はありませんか?「どのエリアですか?」「何人で予約しますか?」「アレルギーはありますか?」...
こうした煩わしさを解消し、AIとの対話をより人間らしく、効率的なものにするサービスが登場しました。株式会社UPBOND(東京都渋谷区、代表取締役:水岡駿)が提供する「Login3.0 with AI Agent」は、ユーザーのライフログ(行動履歴・興味関心データ)を活用することで、よりパーソナライズされたAIエージェント体験を実現します。
従来のAIエージェントとの根本的な違いは、「会話ごとにリセットされる」か「ユーザーの過去を理解している」かという点です。前者では毎回の会話でゼロからコンテキストを構築する必要がありますが、後者ではユーザーの過去の行動や好みを踏まえた上で、最初から適切な対応が可能になります。
ライフログの力:複数企業のデータを横断活用
「Login3.0 with AI Agent」の強みは、個人主権型ID(DID)を活用した認証基盤「Login3.0」との連携にあります。ユーザーが同意した各サービスでの行動データや個人情報をライフログとして蓄積し、AIエージェントがそれを活用することで、企業をまたいだ一貫した対応が可能になります。
例えば、あるユーザーのデータを見てみましょう。
Copy山田太郎 / 090-1234-5678 / 都内ホテル宿泊中(2名) / アレルギーなし / 平均予算1万円
このライフログ情報があれば、「近くのおすすめの日本食レストランを教えて」という一言からでも、AIエージェントは「ホテルから5分の場所に、2名で予約できる日本食レストランが見つかりました。予約しますか?」といった、具体的で適切な提案が可能になります。追加質問を重ねる必要がなく、ユーザーの状況に即した回答を提供できます。

技術的特徴:多様な連携と柔軟な拡張性
「Login3.0 with AI Agent」は、単なるチャットボットサービスではありません。多様なLLM(大規模言語モデル)やAPI、SNSとの連携を特徴としています。
1. 多様なLLMとの接続
ChatGPT、Gemini、Claude、DeepSeekなど、ユーザーや企業が好みのLLMを選択して活用できます。これにより、用途や状況に応じた最適な言語モデルを採用することが可能です。
2. 豊富なAPI連携
Google Spreadsheets、Stripe、HubSpot、Salesforceなど、様々なサービスとAPIで連携。ユーザーデータだけでなく、企業のバックエンドシステムとの統合により、より実用的な対応が可能になります。
3. 多様なSNSとの接続
LINE、KAKAO Talk、WhatsApp、WeChatなど、様々なメッセージングプラットフォームとの連携により、ユーザーが普段使っているコミュニケーションツール上でAIエージェントとやり取りできます。
4. 企業ナレッジとの統合
顧客対応マニュアル、SKUデータ・在庫状況、企業の戦略・施策といった企業内部の情報と組み合わせることで、単なる一般的な回答ではなく、企業固有のコンテキストに基づいた対応が可能になります。

活用シーン:産業を越えた応用例
「Login3.0 with AI Agent」の適用範囲は幅広く、様々な業界での活用が期待されています。UPBONDは特に以下のような活用例を提案しています:
◆旅行代理店での活用
ユーザーの過去の旅行履歴や好みに基づいて、パーソナライズされた旅行プランを提案することが可能になります。以前訪れた都市での行動パターンや、好みのホテルタイプ、予算設定などをもとに、次の旅行先をより適切にレコメンドできます。
◆百貨店での顧客対応
来店履歴や購買データをもとに、個別最適化された「おもてなし対応」を強化できます。特に訪日観光客向けには、鉄道利用時のサポートや、百貨店ならではの特別な情報をパーソナライズして提供することで、満足度の高い買い物体験を実現できます。
◆宿泊施設でのサービス向上
チェックイン時に過去の宿泊履歴をもとに、好みのアメニティやサービスを自動でカスタマイズ。また、近隣の観光スポットや飲食店などの検索や予約も、ゲストのライフログに基づいてスムーズにサポートすることが可能になります。
こうした活用例からわかるのは、「Login3.0 with AI Agent」がユーザーにとっては手間の削減と体験の向上を、企業にとっては顧客理解の深化とオペレーションの効率化をもたらす点です。
技術基盤「Login3.0」について
「Login3.0 with AI Agent」を支える技術基盤である「Login3.0」は、個人主権型のログイン認証基盤として開発されました。この技術には以下のような特徴があります:
1.シングルサインオンによるシームレスなログイン体験
一度のログインで複数のサービスにアクセス可能になり、パスワード管理の手間を削減。ユーザーは各サイトごとに異なるログイン情報を覚える必要がなくなります。
2.法律に準拠した情報取得と同意管理
最新の法律に準拠して、ユーザーの個人情報を適切に取得・管理。個人主権による同意管理を徹底することで、ユーザーのプライバシーを保護しながら、信頼性の高いサービスを提供します。
3.既存統合基盤との接続
既存のシステムと柔軟に統合し、データの一貫性と運用効率を向上。スムーズな移行と運用をサポートしながら、既存投資を最大限に活用することができます。
これらの特徴により、「Login3.0」は単なる認証基盤を超え、企業とユーザーを結ぶ重要なデータプラットフォームとしての役割を果たします。
まとめ
「Login3.0 with AI Agent」は、AIエージェントの常識を変えるサービスです。ユーザーのライフログを活用することで、毎回説明が必要だった煩わしさから解放され、よりスムーズで自然な対話体験を実現します。
個人主権型IDを基盤としたこのサービスは、企業をまたいだデータの横断活用を可能にし、ユーザーにとっては手間の削減と体験の向上を、企業にとっては顧客理解の深化とオペレーションの効率化をもたらします。
AIの普及が進む今日、「AIにイチから説明するのは、もうやめたい」というUPBOND社の問題提起は、今後のAIエージェント開発の方向性を示す重要なメッセージと言えるでしょう。個人が自分のデータを自由に活用できる社会を目指す同社の取り組みに、今後も注目していきたいと思います。