「Claude」米Anthropicが3.5億ドル調達、企業価値9兆円突破。次世代AI開発のため巨額投資を獲得

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「Claude」米Anthropicが3.5億ドル調達、企業価値9兆円突破。次世代AI開発のため巨額投資を獲得

AI開発企業Anthropicが、Lightspeed Venture Partnersをリードインベスターとする35億ドルのシリーズE資金調達を発表しました。企業価値は615億ドルに達し、累計調達額は182億ドルとなります。同社は最新のAIモデル「Claude 3.7 Sonnet」をリリースしたばかりで、今回の資金を活用して次世代AIシステムの開発、計算能力の拡大、解釈可能性と安全性研究の深化、国際展開の加速を進める方針です。年間収益は約10億ドルと報じられていますが、2025年には30億ドルの支出が見込まれており、収益性向上に向けた新機能やサブスクリプションプランの拡充も進められています。

Anthropicが615億ドル評価で35億ドルの大型調達—AIエージェント開発競争がさらに加速

AIスタートアップAnthropicは2月26日(米国時間)、Lightspeed Venture Partnersが主導する35億ドルのシリーズE資金調達を完了したことを発表しました。この調達により同社の企業価値(ポストマネー)は615億ドルに達し、Crunchbaseのデータによれば累計調達額は182億ドルとなります。

この大型資金調達は、同社が最新のフラッグシップAIモデル「Claude 3.7 Sonnet」をリリースした直後に実施されました。Claude 3.7 Sonnetは「ハイブリッド推論」モデルと呼ばれ、質問に回答する前により慎重に考慮できる能力を持つのが特徴です。

「この投資により、Anthropicは次世代AIシステムの開発、計算能力の拡大、メカニスティック解釈可能性とアライメント(安全性)研究の深化、国際展開の加速を進めます」と同社はブログ記事で述べています。「Anthropicは、チームと協力して複雑なプロジェクトに取り組み、分野を超えた情報を統合し、組織が大きなインパクトを達成するのを支援する、真の協力者となるAIシステムの開発に注力しています」

成長する収益と巨額な開発コスト—収益性向上への取り組み

事業面では、Anthropicは着実に成長を続けています。同社の年間収益は昨年約10億ドルだったと報じられており、2025年に入ってからはこの数字がさらに30%増加しています。収益源は同社のモデルを提供するAPIからの収入と、AIチャットボット「Claude」のサブスクリプション販売です。

しかし、AIシステムの開発には膨大な費用がかかります。The Informationの報道によれば、同社は投資家に対して2025年に30億ドルを支出する見込みであることを伝えています。

収益性を高めるため、Anthropicはコンピュータを使用する「エージェント」、デスクトップクライアント、モバイルアプリケーションなど、新しいツールやサブスクリプションプランの提供に注力しています。また、ヨーロッパにオフィスを開設し、Instagramの共同創業者Mike Krieger氏、OpenAIの共同創業者Durk Kingma氏、元OpenAI安全研究者のJan Leike氏など、複数の著名人材を採用しています。

Amazonとの関係強化—戦略的パートナーシップの進展

Anthropicは主要な投資家であり協力パートナーでもあるAmazonとの関係も強化しています。Amazonは2023年11月にAnthropicに追加で40億ドルを投資し、モデルトレーニングワークロード向けにカスタムAIチップ「Trainium」を最適化するための協力を表明しました。

また、AmazonはAnthropicと提携して、アップグレードされたAlexa仮想アシスタント「Alexa+」を構築しています。Alexa+の一部機能はAnthropicのモデルによって支えられています。

この戦略的パートナーシップは、AmazonがAI分野でのプレゼンスを高めるための重要な一歩であると同時に、AnthropicにとってはGoogleやMicrosoftの支援を受けるOpenAIに対抗するための重要な協力関係となっています。

安全性重視のAI開発—OpenAIとの差別化

Anthropicは2021年にCEOのDario Amodei氏によって共同設立されました。Amodei氏はかつてOpenAIのリサーチ担当VPを務めていましたが、OpenAIのロードマップに関する意見の相違から同社を離れたと報じられています。Amodei氏はAnthropicの設立にあたり、OpenAIの元ポリシー責任者Jack Clark氏を含む多数の元OpenAI社員を引き連れました。

Anthropicは常にOpenAIよりも安全性を重視していると自らを位置づける傾向があります。その背景には、AI技術が急速に進化する中で、安全性や倫理的配慮が十分になされないまま展開されることへの懸念があります。

特に大規模言語モデル(LLM)の発展に伴い、バイアス、誤情報の拡散、悪用のリスクなどが指摘される中、Anthropicは「憲法AI」と呼ばれる独自のアプローチを開発し、AIシステムに倫理的な原則を組み込む取り組みを進めています。

今回の資金調達参加者—著名VCが名を連ねる

今回のシリーズE資金調達ラウンドには、リードインベスターのLightspeed Venture Partnersに加え、Bessemer Venture Partners、Cisco Investments、D1 Capital Partners、Fidelity Management & Research Company、General Catalyst、Jane Street、Menlo Ventures、Salesforce Venturesなど、著名なベンチャーキャピタルや企業投資部門が参加しています。

まとめ

AIスタートアップAnthropicは、Lightspeed Venture Partnersが主導する35億ドルのシリーズE資金調達を完了し、企業価値は615億ドルに達しました。最新モデル「Claude 3.7 Sonnet」のリリース直後に実施されたこの調達により、同社の累計資金調達額は182億ドルとなります。

年間収益が約10億ドルと報じられる同社ですが、AIシステム開発には膨大なコストがかかり、2025年には30億ドルの支出が見込まれています。収益性向上に向け、新機能やサブスクリプションプランの拡充を進めると同時に、AmazonとのパートナーシップもAI業界での競争力強化の重要な要素となっています。

OpenAIから分離した元幹部らによって設立されたAnthropicは、安全性を重視したAI開発アプローチを掲げ、「真の協力者となるAIシステム」の実現を目指しています。今回の大型調達により、次世代AIシステムの開発、計算能力の拡大、メカニスティック解釈可能性とアライメント研究の深化、国際展開の加速を進める方針です。

AI業界での競争が激化する中、高度なAIモデルの開発と商用化を巡る戦いはますます熱を帯びています。Anthropicが掲げる安全性と有用性を両立させたAI開発の取り組みが、今後どのような成果をもたらすのか、注目が集まります。

【出典】

AI HUB

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